Panel eight - Selected by Miku MITANI

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三谷麻衣による芝井慶香の『愛を抱きしめて』についての キュレーターコメント 

今年の展覧会のテーマに選ばれた〈カルティベイト〉という言葉には様々な意味があり、直訳すると、「耕す」という意味がある。またそのほかにも養う、培う、修める、作る等、様々な解釈が可能な非常に柔軟な言葉である。この想像性の高い言葉をテーマとして、本学の学生が作品の制作を行なった。

芝井慶香の作品は、本学・女子美術大学学生を象徴するような作品である。彩り溢れる賑やかな画面は、無秩序で自由な色とモチーフで構成されている。しかし、一つひとつの色や形に迫ってみると非常に個性ある色彩で、こだわり抜かれた造形がなされていることに気づく。具象と抽象の絶妙なバランスが切り絵を連想させる、ユニークなイラストレーション作品である。女子美生の豊かな独創性や、彼女らの持つ朗らかさが、イラストレーションとなってそのまま表れた作品といえるだろう。また、手書きで書かれた「カルティベイト」の文字は、作品全体にあたたかい印象を与えている。

三谷麻衣によるリリー・ノーストランドの 『Textured Nature』についてのキュレーターコメント 

今年の展覧会のテーマに選ばれた〈カルティベイト〉という言葉には様々な意味があり、直訳すると、「耕す」という意味がある。またそのほかにも養う、培う、修める、作る等、様々な解釈が可能な非常に柔軟な言葉である。この想像性の高い言葉をテーマの基に、学生が作品の制作を行なった。

Lily Norstrandの作品からは自然の力が感じられる。青々と茂った木々の色や香り、日差しの輝きを閉じ込めたような、素朴で安らかな気持ちにさせてくれる作品である。また、大陸をはるか上空から見ているようにも、小さな細胞を観察している錯覚にも陥る魅力的な作品である。そして、〈カルティベイト〉という言葉は非常に自然と関連深い意味を持つ言葉であることに気づく。ステッチやドローイングなど様々な技法を使った表現がされており、テクスチャにもこだわりを感じられる。作家自身の自然を愛する想いや、空間への眼差しが伝わってくる作品であると言えるだろう。

芝井慶香(しばい きょうか)

日本出身 女子美術大学アート・デザイン表現学科メディア表現領域所属

3Dアートとモデリングにも興味を持つ

Instagram: @kyou_shibai728

リリー・ノーストランド

イギリス出身 ラフバラ大学アート&デザインファンデーション所属

自然の中で乗馬やスキーなどのスポーツを楽しむのが好き

三谷麻衣

日本出身 女子美術大学芸術文化専攻2年 日本美術史ゼミ、芸術表象ゼミ所属 

東洋の古美術と、世界のメディアアートに興味を持つ。バードウォッチングが好き。