Panel thirteen - Selected by Sayaka TODA
戸田冴香による寺門博美の『あなたの花はどれ?』についての キュレーターコメント
Cultivate は辞書的には、「耕す」「養う」「洗練する」などといった、自らの手で物を生み出す意味合いを持つ。この考えでいくと、この単語はアーティ ストにも大いに関わってくる。 頭の中から花を生やして静かに佇む女性。色遣いで愛らしい印象を受ける。作者曰く、花は目標を、頭そのものは花瓶を意味し、沢山ある分それぞれ違う目標であることを示している。また、頭の部分に関しては、目標が変わってもいいように花瓶として表現したそうだ。この部分は人間の本質を的確にとらえている。人間の考えや心は移り変わるから、それに応じて目標が変わるのが当然だからだ。この絵からは、作家の芸術への真剣さが伝わってくる。
今年度のテーマはアーティストに己の独自性を発揮してもらうためのものだと思う。独自性はアーティストの唯一無二の宝石である。私はそれを持つ作家たちを心から応援したい。
戸田冴香によるマット・ロバーツの 『Cultivate』についてのキュレーターコメント
cultivateを辞書で調べてみると、耕す、培う、養うと言った、物を自らの手で為すという意味が込められている。
しかしこちらの作品にはそういう意図が含いるようには思われず、cultivateの言葉そのものを作者独自の視点で表現しているように見える。
作品の大部分はcultivateの頭文字のcと読めそうな抽象的な図形で占められ、その下にcを除いたcultivateのアルファベットが配置されている。このことから、意味というよりも、cultivateという言葉自体を大々的に示そうとしたようだ。文字は表現の答え合わせにすぎないのかもしれない。
この図形的な作品を目にした時、黄と黒という差異の際立つ配色がなされているので、作品として一際目につきやすい。構成は線や角張った図形によって成り立っており、電子回路を彷彿とさせる。
cultivateという言葉は言葉である限り、当然意味はついてくる。しかし、彼の作品を見ていると、意味通りに表現されるのではなく、独自の視点で表現するのもアリだと思った。
寺門 博美
日本出身 女子美術大学美術教育専攻所属
普段はイラストを描いている。
マット・ロバーツ
ハイ・ウィカム、ロンドン(イギリス)出身 ラフバラ大学アート&デザインファウンデーションコース所属 普段はスタジオ撮影による作品を制作
キュレーター:戸田冴香
山口県出身 女子美術大学芸術文化専攻 2 年 色彩学ゼミ、西洋美術史ゼミ所属
趣味はアニメ鑑賞。カタログではデザインを担当している。